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【シリーズ7-1】不確実性の時代における製造業の企業変革力

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急激な気候変動や自然災害、非連続的な技術革新、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界規模というかつてない規模と速度で経済や社会の生活モデルが急変しました。コロナ前の自由な生活を取り戻したいという内なる声を大声で叫びたい衝動にかられるのはレンコンだけでしょうか。

こういった環境変化の「不確実性」に加えてアメリカの政権交替で脱炭素化への動きに拍車がかかってきました。

非連続的な動きに対応することはますます難しい状況になってきましたが、企業が継続していくために、地に足をつけて今予想できる変化に対応するための社内体制を整える必要があります。

この記事を読むとどうなるの?

全シリーズ7回で製造業を取り巻く環境変化を過去から現在までを考察し、今後の情報化に対応するために経営のどこに注目して改善すればよいのかのヒントがあります。聞きなれない言葉に振り回されず、地に足をつけて賢く進んでいきましょう。

7-1不確実性の時代における製造業の企業変革力

4つの必要

1 企業変革力強化の必要

環境や状況が予測困難なほど激しく変化する中では、その変化に対応するために自己を変革していく能力が企業にとって最も重要なもとになります。そのような能力を「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」といいます。昔から「経営は環境適応業である」といわれていることと同じで言い方を変えただけです。

2 企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション推進の必要

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、リモートワークや遠隔教育、遠隔医療等のリモート化に取組む必要に迫られて、日本のデジタルトランスフォーメーションの必要性が求められていましたが、新型コロナで加速化しています。しかし、製造業はIT投資には消極的でデータの収集・活用は停滞しており、老朽化した基幹系システムの存在等の課題を抱えています。

3 設計力強化の必要

急激な環境や状況の変化へ迅速に対応するためには、製品の設計・開発のリードタイムを可能な限り短縮することが必要となります。製品の品質・コストの8割は設計段階で決まり、工程が進むにしたがって仕様変更の柔軟性が低下します。したがって、迅速で柔軟な対応を可能にする企業変革力を強化するには設計力を高めることが重要です。

日本の製造業の設計力は、3DCADによる設計が十分に進んでおらず、協力企業への設計支持を図面で行っている企業が過半を占めているのが実態で設計のデジタル化は遅れています。設計のデータ化と情報セキュリティはトレードオフの関係にあるので対応が遅れていることでもあります。

4 人材強化の必要

製造業のデジタル化を進めるためにボトルネックとなっているのは人材の質的不足です。システム思考と数理の能力をバランスよく持っている人材が不足しているのでデジタル化が進んでいない理由でもあります。 

日本経済の全体的な動向

図表1-1実質GDP成長率の推移(前年比)とその寄与度

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実質GDP成長率の推移を確認すると2014年4月の消費税率引き上げによる個人消費の大幅な低下でマイナスとなり、緩やかな回復をするも2018年の自然災害の被害で再びマイナスとなり2019年第4四半期に大きくマイナスとなった最中の2020年の新型コロナウイルスによる更なるマイナスの拡大が予想されます。図表1-1では、消費税率引き上げによる個人消費の落ち込みはレンコンの想像以上に大きく影響していることがわかります。

図1-2業種別GDP構成比の変化

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2008年と2018年でほとんど変化はないです。しかし、今回の新型コロナの影響で「宿泊・飲食サービス業」と「卸売・小売業」の一部に逆風となっていますので、今後の業種別GDP構成比は変化すると予想されます。

 

次回は、製造業の売上高・営業利益の状況と今後3年間の見通しです。

 

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