2020年は、連日のマスコミによる報道で、新型コロナウイルスに対する過剰な不安や恐れを持たされて私たちは思考停止状況になりました。1年半以上の不自由な生活を強いられたため(今後もまだ続く可能性がありますが)、日本の経済はどのようになっているのでしょうか。
この記事を読むとどうなるの?
2020年は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、日本の経済にどのような影響を与えたのかを理解できます。感覚ではなく、図表や数値で読み解きながら実態を把握していきます。シリーズ全てを読んでいただければ全体像がつかめます。中小企業の経営者や幹部に人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。
2020年度の中小企業の動向
1,日本経済の現状
図表1-1実質GDP成長率の推移
図表1-1①のとおり実質GDP成長率を確認すると、2020年は前年比▲4.8%と大きく下回りました。図表1-1②のとおり第1四半期と第2四半期は緊急事態宣言を全国的に実施して外出自粛による内需の下押しや主要貿易相手国での経済活動の停止による外需の大幅な減少のため▲8.3%となりました。
図表1-2消費総合指数の推移
個人消費の状況は、4月に緊急事態宣言が出されて大幅に低下し、5月を底に上昇したが、11月以降のコロナ陽性者数増加で再び低下しました。
図表1-3サービス産業の売上高
2020年2月以降は、サービス産業の中でも「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」で売上高が前年同月比で大幅に減少しています。他方で「情報通信業」の売上高は10月以降は前年同月とほとんど変わらない水準で推移しています。
図表1-4鉱工業生産指数の推移
企業の生産活動の状況は、2020年2月から5月までは急激に低下し、8月から10月までは挽回して上昇しました。冬になると感染が拡大して一進一退となりました。
図表1-5広義対個人サービス・広義対事務所サービス活動指数の推移
非製造業や広義のサービス業の生産活動は、感染症の拡大に伴う緊急事態宣言が出されて2020年5月まで大幅な低下となりました。サービス業にとって繁忙期であるゴールデンウィークの行動制限による売上の消失の影響がダメージとなっています。その後物議のあった「go to travel」で旅行業やホテル業に一時活気が戻ってきましたが、2021年1月からの緊急事態宣言で戻りつつあった明るさがまた消えてしまいました。
図表1-6地域別輸出数量指数の推移
輸出数量指数は2020年3月から5月に急速に低下した後、上昇傾向で推移しましたが、欧米がコロナの感染拡大で経済が低迷して再び低下しています。
図表1-7地域別輸入数量指数の推移
輸入数量指数は、2020年2月に感染症が拡大した中国で生産活動が停止した影響で一時的に急減した後は、中国の生産再開で急速に上昇しました。日本の輸入は、中国に依存している証拠ですね。2008年9月リーマンショック後のアメリカからの輸入数量はかなり落ち込み、リーマンショック前の水準には戻っておらず、アジア諸国からの輸入数量が増えています。
図表1-8訪日外国人数の推移
アベノミクスのインバウンド需要で景気が良い雰囲気を創出していましたが、2020年の中国の春節後から訪日外国人数は減少し、事実上なくなりました。宿泊業や観光業にとって売上高の急ブレーキがかかりました。
次回から中小企業・小規模企業者の現状に入っていきます。
次回は力を入れて書いていますので、引き続き読んでいただければ幸いです。