この記事を読むとどうなるの?
2020年は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、日本の経済にどのような影響を与えたのかを理解できます。感覚ではなく、図表や数値で読み解きながら実態を把握していきます。シリーズ全てを読んでいただければ全体像がつかめます。中小企業の経営者や幹部に人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。
2020年度の中小企業の動向
中小企業・小規模事業者の現状その2
1,研究開発投資・能力投資
図表3-1業種別・従業員規模別に見た、中小企業における研究開発の実施割合
研究開発を行うためには、十分な設備・人材・資金等の経営資源が必要なため、授業員規模が大きくなるほど実施割合が高い傾向にあります。
図表3-2業種別・従業員規模別に見た、中小企業における能力開発の実施割合
どの業種も51人以上の企業が能力開発を実施する割合が高いです。
図表3-3今後3年間で最も資金を投じたい分野
どの業種も「国内の設備・施設等への投資の増加」への割合が最も高いです。サービス業では、「従業員の賃金の引き上げ」や「新規雇用の拡大」といった人に最も資金を投じたいと考えています。
図表3-4今後3年間で資金を投じるための必要な利益・余剰金の確保状況
0-5人の小規模事業者は、半数以上の企業で余剰金の確保ができていません。
2,資金繰り・倒産・休廃業
図表3-5企業規模別資金繰りDIの推移
感染症流行による売上高の急激な減少とそれに伴うキャッシュフローの悪化によって2020年第2四半期に大きく下落しました。2009年のリーマンショック時を大きく上回る下落幅になっています。
図表3-6中小企業向け貸出金の推移
2012年までは横ばいに推移していましたが、2013年以降は右肩上がりに推移しています。
貸出金で倒産防止をしているといえます。
図表3-7倒産件数の推移
1990年がバブル景気真っ只中で6,468件を最低としてその後のバブル崩壊、リーマンショックで増加傾向にありましたが、金融による資金繰り支援で2020年は7,773件と低い水準です。
図表3-8負債総額1,000万円未満の倒産件数の推移
2016年以降増加傾向で推移し、2020年は、過去10年で最多の倒産件数となっています。1件あたりの負債総額が小口化しています。
図表3-9休廃業・解散件数の推移(東京商工リサーチ)
2020年の休廃業・解散件数は、前年比14.6%増となっています。休廃業・解散の背景には、経営者の高齢化や後継者不足が要因でもあります。
3,商店街の現状
図表3-10商店街の最近の景況
「衰退の恐れがある/衰退している」回答が最も多いです。
図表3-11最近3年間の商店街への来街者数の減少要因(上位五つ)
「魅力ある店舗の減少」や「業種・業態の不足」すなわち商店街全体の魅力が低下しているので衰退を招いていることになります。
そこで、商店街に期待される役割として「商店が集まる街」から「生活を支える街」に転換していくことが期待されます。
図表3-12商店街類型別の課題と対応の方向性
アグリゲーター事業者とは、物販機能であれば広域で需要を集約し、移動販売等によりサービスを提供するような事業者のこと。
地域の実情を踏まえて住民の暮らしを支える視点で商店街をデザインする必要があります。
次回は、雇用に関する状況を書きます。引き続き読んでいただければ幸いです。