この記事を読むとどうなるの?
2020年は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、日本の経済にどのような影響を与えたのかを理解できます。感覚ではなく、図表や数値で読み解きながら実態を把握していきます。シリーズ全てを読んでいただければ全体像がつかめます。中小企業の経営者や幹部に人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。
2020年度の中小企業の動向
雇用の動向
1,日本の雇用環境
図表4-1完全失業率・有効求人倍率の推移
完全失業率(青線)は、2009年のリーマンショック時をピークに低下傾向でしたが、感染症の流行で2020年から上昇に転じています。
図表4-2男女別の休業者比率の推移
2020年4月の休業者比率の上昇幅は、女性の方が大きいです。2020年11月以降も緩やかな上昇傾向にあります。
図表4-3業種別の休業者比率の推移
「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「教育、学習支援業」等女性が担う業種の休業者が多いため、女性の休業者比率が高くなっています。
図表4-4性別・雇用形態別に見た、雇用者数の前年同月差の推移
2020年以降は男女ともに非正規の職員が休職しています。一部男性の正規職員の雇用も減少しています。
図表4-5業種別に見た、性別・雇用形態別の雇用者の割合
宿泊業、飲食サービス業は、75%が非正規の職員で構成されています。
建設業・情報通信業は83%が正規の職員で構成されています。
2,中小企業の雇用状況
図表4-6業種別に見た、雇用者数の前年同月比の推移(従業員規模1~29人)
図表4-7業種別に見た、雇用者数の前年同月比の推移(従業員規模30~99人)
従業員規模に関わらず、情報通信業以外の業種は雇用者数が減少しており、宿泊業、飲食サービス業では大幅に減少しています。
図表4-8従業員数300人以上の企業における大卒予定者求人数・就職希望者数の推移
図表4-9従業員数299人以下の企業における大卒予定者求人数・就職希望者数の推移
図表4-8と図表4-9を見れば、大卒予定者は従業員数300人以上の大手企業に就職したがっていることがわかります。
図表4-10直近1年間の売上高の動向別に見た、人員の過不足状況
売上高が減少した企業でさえ、人員が不足しています。
図表4-11業種別に見た、人員が不足している職種の状況
製造業では「現場職」で、サービス業では「技術職(設計、システムエンジニア、デザイナー、運転手等)」が不足しています。
情報通信業の技術職は、慢性的な人材不足です。他業種からの転職もねらい目です。
コロナ禍を経験した私たちのその後の世の中がどのように変化するのかは、見通せないですが、コロナ前の状況に完全に戻れるとも考えられません。経済が徐々に正常化していく中でどのような仕事をするべきなのかを考えるヒントにしてください。
企業は人手不足です。企業が求める人材のスキルを自分は満たしているのか?それとも自分が得意とする分野を見つめ直して起業するのか?
今一度立ち止まって見つめ直す時期なのかもしれません。
企業側も人材不足のポジションに優秀な人材を求める絶好の時期でもあります。
次回はこのシリーズの最後で企業間取引の状況を見ながらまとめたいと思います。
よろしければ引き続き読んでいただければ幸いです。