2020年は、連日のマスコミによる報道で、新型コロナウイルスに対する過剰な不安や恐れを持たされて私たちは思考停止状況になりました。1年半以上の不自由な生活を強いられたため(今後もまだ続く可能性がありますが)、日本の経済はどのようになっているのでしょうか。
この記事を読むとどうなるの?
2020年は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、日本の経済にどのような影響を与えたのかを理解できます。感覚ではなく、図表や数値で読み解きながら実態を把握していきます。感染症流行後も競争力を保ちながら事業継続していくためにデジタル化をどのように取り込んでいけばよいのか、またどんな戦略が必要なのかを考えます。中小企業の経営者や幹部に人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。
中小企業におけるデジタル化に向けた現状
1,感染症流行前後のデジタル化に向けた取組の変化
図表2-1感染症流行に伴いデジタル化の取組において最も重要度が上がった項目(業種別)
全産業で「経営判断や業務プロセスの効率化・固定費の削減」を上げていますが、最終消費者と身近で取引している宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業では「新たな事業や製品、サービスの創出と改善」の割合が多いです。
固定費の削減=デジタル化による人員削減
図表2-2IT投資への予算が増える要因(日米比較)
米国企業は、市場や顧客などの外部環境の変化を把握するためにIT投資の予算を投じている傾向にあります。
日本企業は、働き方改革の取組や社内の業務効率化にIT投資の予算を投じています。米国企業は、企業戦略を立てるためのツールとしてIT投資を考えています。
人間を主体としたIT投資は、コスト削減に向かうのではなく戦略を立てるためのツールに使ってもらえたらいいな~と思います。
図表2-3感染症流行前後のITツール・システムを活用した働き方改革の取組(取引先属性別)
感染症流行後において「Web会議」を上げる割合が高いです。「テレワーク、リモート勤務」も増加しています。
文書の電子化については、重要な文書は紙で印刷してからよく考えて社内回覧してから決定したいという企業慣習は、なかなか変更できないのではないでしょうか。社内での決裁の電子化にはいつ頃になれば対応できるようになるでしょうか。
図表2-4感染症流行前後のITツール・システムを活用した販売促進活動(取引先属性別)
感染症流行後において、BtoBでは「オンラインでの商談・営業」、BtoCでは「自社HPの活用」に取り組む企業が40%以上を占めています。
2,ITツール・システムの導入状況
図表2-5 ITツール・システムの導入状況(ツール別)
「人事」や「経理」関連のITツールの導入が他の分野と比較すると進んでいることがわかります。
「コミュニケーション」関連のITツールは、「1~2年前から導入している」または「新型コロナウイルス感染症流行を契機に導入した」と回答する割合が4割を超えています。
図表2-6 ITツール・システムの導入状況(業種別)
「製造業」や「建設業」では、「生産管理」関連の導入、「卸売業」や「小売業」では、「販売促進・取引管理」関連の導入進んでいます。
「宿泊業、飲食サービス業」では全体的にシステム導入が遅れています。
「情報通信業」では、「生産管理」「ERP・基幹システム」を導入する予定はないことは興味を引きます。
ERP・基幹システムは、業務を一元管理するシステムを構築することです。
案件ごとに顧客対応が異なるので共通化できないから作らないのかもしれませんが、SEの能力でかなり成果が異なるのがソフトウエア業で見られるのですが、医者の不養生と同じでしょうか。
全業種の過半で導入する予定がないのは、「情報管理」「経営分析」「業務自動化」です。
3,クラウドサービスの導入状況、今後の利用方針
図表2-7クラウドサービスの導入状況
「グループウェア」での導入率が50%を超えています。プロジェクトグループ内の情報共通化のためのスケジュール・インフォメーション・ワークフロー・電子会議室等で利用することが考えられますが、常にセキュリティーに注意する必要があります。外部への情報漏洩は常に注意が必要ですので、利用するクラウドサービス会社の信用力が重要となります。