2020年は、連日のマスコミによる報道で、新型コロナウイルスに対する過剰な不安や恐れを持たされて私たちは思考停止状況になりました。1年半以上の不自由な生活を強いられたため(今後もまだ続く可能性がありますが)、日本の経済はどのようになっているのでしょうか。
この記事を読むとどうなるの?
2020年は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、日本の経済にどのような影響を与えたのかを理解できます。感覚ではなく、図表や数値で読み解きながら実態を把握していきます。感染症流行後も競争力を保ちながら事業継続していくためにデジタル化をどのように取り込んでいけばよいのか、またどんな戦略が必要なのかを考えます。中小企業の経営者や幹部に人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。
中小企業におけるデジタル化に向けた現状
4,IT人材の確保と育成
図表3-1 IT人材の確保状況
デジタル化の取組全体を統括できる人材及びITツール・システムを企画・導入・開発できる人材は、半数以上の企業が確保できていません。
図表3-2 IT人材の確保方法と育成方法
確保方法は、「既存社員の育成」により確保する企業が最も多く、「何も実施していない」と回答する企業が2割を超えています。
育成方法は、社員の主体性に任せている割合が最も高く、体系的な育成制度が十分に整っていないことがわかります。
5,情報セキュリティ対策
図表3-3サイバー攻撃の被害状況(業種別)
全業種でサーバー攻撃を受けていますが、「運送業、郵便業」「宿泊業、飲食サービス業」では1割と低いものの、「卸売業」「情報通信業」では25%ほど被害を受けています。欲しい情報を多くもっている業種ということでしょうか。
図表3-4サーバー攻撃の被害状況(従業員規模別)
301人以上の企業では3割以上が被害を受けたことがあります。これも知りたい情報を持っている企業を狙い撃ちしているということでしょうか。
図表3-5情報セキュリティ対策の状況(業種別)
全産業を見て下さい。
「十分に対策している」企業は、14.2%に留まっています。残念!
図表3-3では「情報通信業」でサイバー攻撃の被害を受けた割合が高かったのですが、「十分に対策をしている」と回答した割合が40.3%と最も多くなっています。業種柄のプライドと信用問題でもありますね。被害を受けた割合が少なかった「運輸業、郵便業」「宿泊業、飲食サービス業」では「対策をしていない」企業が3割を超えています。利用者の個人情報が漏洩する可能性がありますので、今後の対策を期待したいですね。
図表3-6情報セキュリティ対策の内容(製造業・非製造業別)
製造業・非製造業共に「ウイルス対策ソフト・サービスの導入」は90%を超えています。今や個人でもウイルス対策ソフト対応は必須と思いますが、一部で対策していない企業がいることに驚きを感じます。「システム・データのバックアップ」「ファイアウォールの導入」に取り組む企業の割合が多いです。
図表3-7情報セキュリティ対策推進にあたっての課題(業種別)
「資金が不足している」という回答が最も多かった「宿泊業、飲食サービス業」を除いて他の業種では「社内の検討・推進体制が整わない」や「セキュリティ対策を実施できる人材がいない」という課題を抱えています。
6,事業継続力の強化に向けたデジタル化の取組
図表3-8デジタル化における事業継続力の強化に対する意識(業種別)
業種を問わず、事業継続力を意識してデジタル化に取り組んでいる企業が6割を占めています。デジタル化への問題意識はどの業種も高いということになります。
図表3-9労働生産性の水準(デジタル化における事業継続力の強化に対する意識別)
目的意識の高い企業が結果として労働生産性を向上させることになっています。
「何のためにデジタル化を実施するのか」という問題意識が非常に重要である証拠です。