中小企業はどのように事業承継を進めればよいの?
日本における中小企業は、高品質なものづくりを支える製造業やおもてなしの接客サービスを行う小売・サービス業等、雇用の受け皿として大切な存在です。今その中小企業に立ちはだかる問題は、経営者の高齢化による事業承継がうまく進んでいないことにあります。5回にわたって中小企業の事業承継の現状や問題点、実態等をグラフを使いながらわかりやすく解説していきます。
この記事を読むとどうなる?
事業承継って何が問題なのか?中小企業の事業承継を取り巻く現状や実態がわかります。また、事業承継のやり方にはどんな方法があるのか等もわかってしまいます。
中小企業の事業承継を取り巻く現状
日本における中小企業数は約99%で、従業員数は約70%を占めており、地域経済・社会を支える存在かつ雇用の受け皿として極めて重要な役割を担っています。
1 中小企業の重要性
図表1 企業数の内訳
図表2 従業員数の内訳
出典 総務省「平成26年経済センサス基礎調査」再編加工
2 中小企業の現状と経営者の高齢化
中小企業の数は、1999年から2015年までの15年間に約100万社減少しており、リーマンショック後も依然と減少傾向にあります。
中小企業経営者の引退年齢は、平均で67~70歳であるため現在は多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えています。中小企業の活力の維持・向上のため、事業継承の円滑化に向けた取り組みは、中小企業経営者や支援機関、地方自治体、地域経済支援の担い手である地域金融機関にとっても喫緊の課題です。
図表3 中小企業の経営者年齢の分布(年代別)
出典 帝国データバンク「全国社長分析」
図表4 経営者の平均引退年齢の推移
図表5 経営の担い手の推移
59歳以下の経営の担い手は、1992年の802万人から2017年の438万人へと約45%減少し、60歳以上の経営の担い手は、1992年の359万人から2017年の447万人で約25%増加している。その結果2017年時点で経営の担い手60歳以上が全体の50.5%となっている。
経営者の平均引退年齢67歳~70歳を超えている70歳以上が198万人存在しています。健康年齢は、個人差があるので一概にはいえませんが、経営者の高齢化は深刻な問題です。
シリーズ5-2 中小企業のにおける事業承継の現状 に続きます。