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【シリーズ5-3】 中小企業はどのように事業承継を進めればよいの?

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中小企業はどのように事業承継を進めればよいの? 

日本における中小企業は、高品質なものづくりを支える製造業やおもてなしの接客サービスを行う小売業・サービス業等、、雇用の受け皿として大切な存在です。今その中小企業に立ちはだかる問題は、経営者の高齢化による事業承継がうまく進んでいないことにあります。5回にわたって中小企業の事業承継の現状や問題点、実態等をグラフを使いながらわかりやすく解説していきます。

この記事を読むとどうなる?

事業承継って何が問題なのか?中小企業の事業承継を取り巻く現状や実態がわかります。また、事業承継のやり方にはどんな方法があるのか等もわかってしまいます。

事業承継の類型や事業要素

経営者引退に伴う経営資源の引継ぎ

経営者引退は、事業が継続されるか否かによって「事業承継」と「廃業」に分けられます。

図表13 経営者引退に伴う経営資源引継ぎの概念図

 

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 事業承継の類型

①  親族内承継

現経営者の子をはじめとした親族に承継させる方法です。

メリット

・内外の関係者から心情的に受け入れられやすい。

・後継者の早期決定により長期の準備期間の確保が可能である。

・相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の一体的な承継が期待できる。

しかし、親族内承継が落ち込んでいる理由は、事業の将来性や経営の安定性に対する不安の高まりや家業にとらわれない職業の選択、リスクの少ない安定した生活の追求等の多様な価値観が影響しています。

その意味で、現経営者は、事業承継を行う前に経営力の向上に努め、経営基盤を強化することにより、後継者が安心して引き継ぐことができる経営状態まで引き上げることが求められます。

また、事業承継を円滑に進めるためには、現経営者が自らの引退時期を定め、後継者育成に必要な期間を逆算して後継者教育に計画的に取り組むことが大切です。

②  役員・従業員承継

「親族」以外の役員・従業員に承継する方法です。

メリット

・経営者として能力のある人材を見極めて承継することができる。

・経営方針等の一貫性を保ちやすい。

資金力には課題がありましたが、種類株式や持株会社、従業員持株会を活用するスキームの浸透で環境が整いつつあります。

重要なポイントは、親族株主の了解を得ることです。現経営者のリーダーシップの下で親族調整し、関係者全員の同意と協力を取り付けて紛争が生じないように対策を実施することが大切です。親族なのでデリケートな問題ですが、現経営者がしっかりと対応して解決しておかないと相続時に親族間で争いがおこります。

③  社外への引継ぎ(M&A等)

株式譲渡や事業譲渡等により承継を行う方法です。

メリット

・親族や社内に適任者がいない場合でも候補者を外部に求めることができる。

・現経営者は会社売却の利益を得ることができる。

社外への引継ぎを成功させるためには、本業の強化や内部統制体制の構築により企業価値を高めておく必要があります。

M&A等で最適なマッチング候補を見つけるまでの期間は、数か月~数年かかるため十分な時間的余裕をもって臨むことが大切です。

 事業承継の構成要素

後継者に承継するべき経営資源は多岐にわたります。

図表14 事業承継の構成要素

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①  人の継承

後継者への経営権の承継を指します。中小企業においては、ノウハウや取引関係が経営者個人に集中していることが多いため、事業の円滑な運営や業績が経営者の資質に大きく左右される傾向にあります。従って、親族内承継や従業員承継に5年~10年以上の準備期間が必要とされています。

 

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②  資産の承継

事業を行うために必要な資産(設備や不動産等の事業用資産、債券、債務であり、株式会社であれば会社所有の事業用資産を含む自社株式)の承継を指します。資産の状況によっては多額の贈与税・相続税が発生することがあるので、税負担に配慮した承継方法を検討しなければなりません。

親族内承継においては、他の推定相続人との関係も視野に入れる必要があり、考慮すべきポイントは、専門的かつ多岐にわたります。顧問税理士、地域金融機関や専門コンサルタント等に相談をして円滑に対応することも視野においてください。

③  知的資産の承継

知的資産とは、「従来の貸借対照表上に記載されない無形の資産で、企業の競争力の源泉です、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなどの目に見えにくい経営資源の総称」です。自社の強み・価値の源泉が経営者と従業員の信頼関係にあることを後継者が深く理解し、従業員との信頼関係構築に向けた取り組みを行う必要があります。

知的資産の承継にあたっては、「事業価値を高める経営レポート」や「知的資産報告書」等の枠組・着眼点に沿って知的資産の棚卸から見える化を行うことが大切です。

上記ツールを使いながら現経営者や後継者が自ら整理して見える化が必要です。

 

 次回は、【シリーズ5-4】事業承継のあるべき姿 です。