中小企業が付加価値を生み出すにはどうしたらいいの?
先ず、付加価値とは?企業の利益を積み上げる源泉です。活力の源ということです。
日本における中小企業数は、約99%で従業員数は、約70%を占めており、地域経済・社会を支える存在かつ雇用の受け皿として極めて重要な役割を担っています。その中小企業が活力の源である付加価値を生み出していくことで、日本全体が活気づいていくことになりますので、付加価値を上げる方法を愚直に考えていきます。
この記事を読むとどうなるの?
第4次産業革命が起こっている中でのコロナによる実体経済低迷の長期化で中小企業を取り巻く環境が激しく変化しています。こんな状況の中、経営の基本に沿った考え方の基盤の上で外部環境の実際の動きに合わせながら付加価値を上げていく方法のヒントがわかってしまいます。
中小企業の経営者や幹部の人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。
バリューチェーン上の各事業領域の実態
業種別の分析
自動車製造業(二輪自動車を含む)、半導体製造装置製造業、オフセット印刷業(紙に対するもの)、空調・住宅関連機器製造業、生菓子製造業、織物製成人女子・少女複製造業(不織布製及びレース製を含む)の6業種について掲載します。算出基準は図3-1のとおりです。
図3-1 バリューチェーン上の事業領域別の指標算出の方法
各業種2013年と2018年の労働生産性や営業利益率と企業集に占める中小企業の割合を見ていきます。
図3-2 事業領域別、指標の推移と中小企業の割合(自動車製造業(二輪自動車を含む)
組立・製造は、大手メーカーが行っているので労働生産性が突出して高いです。営業利益率に関しては、2018年に金型・装置製造、組立・製造、車体製造の事業領域が高いです。
中小企業の企業数を見ると金型・装置製造、製品卸売、サービス・メンテナンス事業領域はほとんど中小企業で占められていることがわかります。
図3-3 事業領域別、指標の推移と中小企業の割合(半導体製造装置製造業)
製品卸売で労働生産性が高いです。2018年の営業利益率に関しては、半導体の部品製造は、利益率が低く、組立・製造の利益率は高いです。半導体の部品加工、組立・製造の事業領域は、中小企業が占める割合が高いです。
図3-4 事業領域別、指標の推移と中小企業の割合(オフセット印刷業(紙に対するもの)
オフセット印刷業は、他業種と比較すると全体的に労働生産性が低いです。2018年の営業利益率は、部品製造領域で高いです。印刷機の価格が高いために競合が少ないことも影響していると思われます。製品卸売領域以外はほぼ中小企業で占められています。
図3-5 事業領域別、指標の推移と中小企業の割合(空調・住宅関連機器製造業)
部品製造とサービス・メンテナンスの労働生産性が高いです。営業利益率も同じ領域が高いです。但し、サービス・メンテナンスは大企業が過半数を占めています。
図3-6 事業領域別、指標の推移と中小企業の割合(生菓子製造業)
製品卸売領域の労働生産性が高いです。卸売は、少人数で売上を上げるビジネスモデルなので、一般的に労働生産性は高いはずです。営業利益率に関しては、生菓子なのでハレの日に食べる習慣があるので、原材料を厳選した美味しいものを食べる傾向があるので、原材料製造、販売が営業利益率は高いです。製造と販売を行う生菓子屋はさらに付加価値が高いです。製品製造だけでは営業利益率はかなり低いです。
図3-7 事業領域別、指標の推移と中小企業の割合(織物製成人女子・少女服製造業(不織布製及びレース製を含む)
製品卸売の労働生産性が高いです。製品製造は、アジアへ生産シフトしており、労働生産性、営業利益率ともに低いです。100%中小企業が生産を担っています。
新事業領域への進出
図3-8 新事業領域への進出の状況
製造業で18.3%、非製造業で16.1%で低迷しています。
図3-9 新事業領域進出の業績への影響別、営業利益率の変化
図の見方は、新事業領域に進出して販売数量・単価ともに上昇した企業の営業利益率は、1.5%上昇したと読み取って下さい。
次回は、製品・サービスの差別化について考えます。