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【シリーズ5-5】中小企業が付加価値を生み出す方法

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中小企業が付加価値を生み出すにはどうしたらいいの?

先ず、付加価値とは?企業の利益を積み上げる源泉です。活力の源ということです。

日本における中小企業数は、約99%で従業員数は、約70%を占めており、地域経済・社会を支える存在かつ雇用の受け皿として極めて重要な役割を担っています。その中小企業が活力の源である付加価値を生み出していくことで、日本全体が活気づいていくことになりますので、付加価値を上げる方法を愚直に考えていきます。

この記事を読むとどうなるの?

第4次産業革命が起こっている中でのコロナによる実体経済低迷の長期化で中小企業を取り巻く環境が激しく変化しています。こんな状況の中、経営の基本に沿った考え方の基盤の上で外部環境の実際の動きに合わせながら付加価値を上げていく方法のヒントがわかってしまいます。

中小企業の経営者や幹部の人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。

無形資産の有効活用

経営資源には

設備や店舗等の「有形資産」と知的財産、ブランド、人材の質等の「無形資産」があり、無形資産への投資が生産性向上につながるという指摘もあります。欧米と比較すると、日本の対GDP比の無形資産投資比率は低い水準にあることを図5-1が示しています。

図5-1 無形資産投資の国際比較

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重視する経営資源

図5-2 製造業・非製造業別、最も重視する経営資源

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全体的に「技術者・エンジニア」や「営業・販売人材」のヒトを最も重視する傾向が見られます。

製造業

図5-3 最も重視する経営資源別、労働生産性の水準(2018)【製造業】

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製造業では、「仕入先網」、「営業・販売人材」、「知的財産権・ノウハウ」、「工場・事務所」、「企画・マーケティング人材」の順に重視をしています。

非製造業

図5-4 最も重視する経営資源別、労働生産性の水準(2018)【非製造業】

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非製造業では、「仕入先網」、「店舗」、「ブランド」、「営業・販売人材」、「企画・マーケティング人材」の順に重視しています。

知的財産権の活用

日本の中小企業は、約358万社で全体の99.7%を占めており、付加価値額でも中小企業が52.9%を占めています。しかし、図5-5のとおり特許現存権利件数は14.5%ときわめて低い状況です。

図5-5 特許出願件数・現存権利件数に占める中小企業の割合

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図5-6 知的財産権別、出願件数に占める中小企業の割合(2018年出願)

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図5-6のとおり、中小企業は、商標や実用新案の登録出願を活発に行っています。図5-4のとおり経営資源で重要視している「ブランド」を守るための行動であると考えます。

図5-7 知的財産権の使用状況

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取得した特許の使用状況を見ると中小企業では、75.3%で、その他の知的財産権では8割を超える使用率となっています。

一方、大企業の使用率は、33.8%と低く、防衛目的で特許を取得しているのか、または特許を取得することが目的化しているのかと予想します。

大企業で取得した不使用の特許をなんらかの形で中小企業が使用できれば眠った技術が活用されることになるので、無形固定資産の有効活用できるようになり、独創的な製品が生まれる可能性があることを考えるとワクワクしてきます。

図5-8 知的財産権に基づく輸入差止め件数実績

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水際における模倣品の取り締まりという観点から、特許権ではなく、商標権に基づくものが圧倒的に多いは図5-8の輸入差止め件数からもわかります。

知的財産権を出願する時に考えるポイント

POINT

特許権を取得すると、一定期間後に全て技術が公開されてしまうので、公開したくない場合は、意匠権で外観のみを公開することで技術情報を未公開にすることを戦略的に選択する場合もあるでしょう。 

人的資本投資

図5-9 GDPに占める企業の能力開発費の割合の国際比較(OFF-JTの費用)

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日本は、欧米主要国と比較して、OFF-JTにかけるコストが著しく低いです。図5-9は、OJTに要する費用は含まれていません。

 まとめ

中小企業が付加価値を生み出す方法として差別化集中戦略を取ることが重要であることがわかりました。しかし、集中化することはリスクを伴い、環境変化・市場変化とともに常に企業変化を起こしていくことが、中小企業が付加価値を生み出す源泉となります。

バリューチェーンで業種別での事業領域ごとの特徴をある程度理解していただけたかと思いますので、中小企業経営者への新規参入する際のヒントになれば幸いです。

今までは、有形固定資産(機械装置・土地・建物)への投資に集中していたと思いますが、今後は無形固定資産にも目を向ける必要があると思います。

重視する経営資源はヒトといいたいのですが、実際は図5-3、図5-4のとおりの仕入網営業・販売人材知的財産権・ノウハウブランド工場や店舗企画・マーケティングです。図5-9のようにOFF-JTにはコストをかけない傾向にあります。中小企業が付加価値を生み出すためには何が重要なのかを考えて実践していくことが中小企業経営者には求められています。