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【シリーズ7-4】不確実性の時代における製造業の企業変革力

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急激な気候変動や自然災害、非連続的な技術革新、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界規模というかつてない規模と速度で経済や社会の生活モデルが急変しました。コロナ前の自由な生活を取り戻したいという内なる声を大声で叫びたい衝動にかられるのはレンコンだけでしょうか。

こういった環境変化の「不確実性」に加えてアメリカの政権交替で脱炭素化への動きに拍車がかかってきました。

非連続的な動きに対応することはますます難しい状況になってきましたが、企業が継続していくために、地に足をつけて今予想できる変化に対応するための社内体制を整える必要があります。

この記事を読むとどうなるの?

全シリーズ7回で製造業を取り巻く環境変化を過去から現在までを考察し、今後の情報化に対応するために経営のどこに注目して改善すればよいのかのヒントがあります。聞きなれない言葉に振り回されず、地に足をつけて賢く進んでいきましょう。

7-4不確実性の時代における製造業の企業変革力

世界における不確実性の高まり

図表4-1サプライチェーン再編の歴史

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このグローバル・サプライチェーンは、効率性の視点からは確かに優れていました。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、その欠陥が顕在化することとなりました。

図表4-2地域別輸出額の推移

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2019年第4四半期における製造業の輸出額のうち20.8%を中国が占めて2003年当時の2倍以上の水準になっています。輸出額は、中国、その他アジア、北米が多いですね。

図表4-3地域別輸入額の推移

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2019年第4四半期における製造業の輸出額のうち25.0%を中国が占めて2003年当時の2倍以上の水準になっています。一般機械部品、自動車部品は、円高の時期(2009年~2014年)にコスト重視で中国からの輸入が急激に増えました。そのあおりを受けて日本の下請中小製造業の売上減少がおきました。自動車部品の37.5%を中国からの供給で占めています。

図表4-4中国における日系自動車メーカーの主な拠点及び中国から日本への輸出部品例

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付加価値が低いワイヤーハーネスは、自動生産が難しく、手作業への依存が高い一方で、車種やモデルごとに大きさが変わるので中国での一極集中は、リスクにもなります。半導体の主要な部分は台湾企業TSMCに1社依存となってしまい、サプライチェーンで問題が起こるでしょう。日本のルネサスの行方が心配です。

図表4-5為替(ドル円相場)の推移

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海外現地法人への投資は、2010年~2013年に顕著に進んだ理由は、為替相場の円高方向への動きがあった。中国からの輸入が増えて、日本の製造業での設備投資も減少しているのは為替相場の影響が大きいといえます。

今回の新型コロナウイルス対策で国内回帰された状況を調査しました。

図表4-6海外で生産していた製品・部材を国内生産に戻したケースの有無

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図表4-7どの国・地域から国内に戻したか

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図表4-8どのような理由で国内に戻したか

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地政学リスクの高まりと平行して技術優位性の毀損や技術の脆弱性が安全保障を理由とする機微技術の流出防止策や自国産業を中心に据えた産業政策が世界的に進んでいます。日本の中小企業のものづくり技術の優位性を保つために自動車、産業機械などを支える中小企業による繊細な加工技術や素材技術等を維持、強化するために資金繰り支援や設備投資支援が行われています。

自然災害を巡る不確実性と製造業

不確実性については、台風、大雨、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火等の自然災害にも注意が必要です。

図表4-9各国の人口1人あたりの被害総額推移

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1990年までは自然災害は少ないですね。1990年以降はアメリカと日本になぜか集中しています。日本では阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、2018年7月豪雨、北海道胆振東部地震、台風19号等でサプライチェーンの分断で生産ストップの影響を受けました。

次回は、 デジタル技術の革新による自動車産業をめぐる環境変化や不確実性に対応するための経営戦略の変化のお話です。

 

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