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【シリーズ7-3】不確実性の時代における製造業の企業変革力

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急激な気候変動や自然災害、非連続的な技術革新、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界規模というかつてない規模と速度で経済や社会の生活モデルが急変しました。コロナ前の自由な生活を取り戻したいという内なる声を大声で叫びたい衝動にかられるのはレンコンだけでしょうか。

こういった環境変化の「不確実性」に加えてアメリカの政権交替で脱炭素化への動きに拍車がかかってきました。

非連続的な動きに対応することはますます難しい状況になってきましたが、企業が継続していくために、地に足をつけて今予想できる変化に対応するための社内体制を整える必要があります。

この記事を読むとどうなるの?

全シリーズ7回で製造業を取り巻く環境変化を過去から現在までを考察し、今後の情報化に対応するために経営のどこに注目して改善すればよいのかのヒントがあります。聞きなれない言葉に振り回されず、地に足をつけて賢く進んでいきましょう。

7-3不確実性の時代における製造業の企業変革力

製造業の貿易収支動向

図表3-1貿易収支の推移

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2000年以来貿易赤字方向に寄与した要因は「鉱物性燃料」「食料品」「原料品」ですが、特に「鉱物性燃料」の寄与が大きいことがわかります。貿易黒字の要因は、「輸送用機器」「一般機械」「電気機器」ですが、「輸送用機器」の寄与が大きいことがわかります。

製造業の所得収支動向

海外現地法人を開設するための投資は、対外直接投資と認識されてその海外現地法人の収益は直接投資収益として計上されます。

海外の株式や債券などの有価証券投資も含めた対外直接投資の中で海外現地法人の収益の占める割合が、年々拡大し、2019年には50.2%と半分以上になってきました。

図表3-2対外直接投資収益(業種別)

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2019年第3四半期は、製造業が55%を占め、非製造業が45%となっています。非製造業では、卸売・小売業の海外投資が活発です。

製造業の設備投資動向と設備老朽化の状況

国内企業における投資の積極性を見るために設備投資営業キャッシュフロー比率(営業活動で稼いだ現金に対して設備投資に使用した資金を占める割合)を確認するとバブル崩壊後は低位で推移しており、リーマンショック前の異常な自動車業界における一瞬の積極的な設備投資以外は積極性にかけています。折れ線グラフを参照してください。

※バブル崩壊は、1991年3月、リーマンショックは、2008年9月でした。

図表3-3設備投資営業キャッシュフロー比率の推移

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リーマンショック前の一瞬の積極的な設備投資を解消するためにかなり時間がかかり、ますます設備投資が低迷しました。景気の変動に直接大きな影響を与えるのが、設備投資であることがよくわかる図表ですね。図表3-3
の棒グラフを見て下さい。企業の企業の営業CFは、リーマンショック後以外は、バブル崩壊時よりも高く推移しています。その理由は、円高に苦しみながらそれを理由にして労働者の賃金を低下させ続けたための結果もあると考えます。

図表3-4資産の収益性と設備投資の推移

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2000年以前のグラフは、時差がありながらも同様な動きで推移しています。しかし、2000年以降は明らかに設備投資が低迷しており、資産の収益性から大幅に乖離しています。投資効率を重視するようになってきたものと考えます。

製造業における設備老朽化の現状

日本の製造業は設備効率を高めた一方で、設備投資が見送られる傾向が続いており、設備の老朽化に伴う更新の必要性が高まっています。

図表3-5生産設備導入からの経過年数(2018年調査)

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金属工作機械、第二次金属加工機械、鋳造装置では、50~80%近くの設備が導入してから15年以上経過しています。

図表3-6生産設備導入からの経過年数の比較(2018年、2013年、1994年の比較)

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1994年と2013年を比較すると、二次金属加工機械、溶接機及び溶断機、レーザー加工機、自動組み立て装置では、15年以上経過している機器が2~3割程度増加しています。

投資効率の良い機械の購入に注視したために全体の機械更新が大幅に遅れていることを示しています。

 

中国経済の減速や度重なる災害、天候不順、通商問題や問題や海外経済の不確実性等の影響により2018年後半から景況判断が弱まっています。2019年には米中貿易摩擦を理由として国内回帰を行った企業が増え、2020年1月以降は新型コロナウイルス感染症の影響が深刻化しています。視界不良で経営判断が困難な時期に入ってきました。

 

次回は、世界における不確実性の高まりを輸出、輸入の動向や為替変動に影響をうけての海外投資の動向等を考えます。

 

 

 

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