中小企業が付加価値を生み出すにはどうしたらいいの?
先ず、付加価値とは?企業の利益を積み上げる源泉です。活力の源ということです。
日本における中小企業数は、約99%で従業員数は、約70%を占めており、地域経済・社会を支える存在かつ雇用の受け皿として極めて重要な役割を担っています。その中小企業が活力の源である付加価値を生み出していくことで、日本全体が活気づいていくことになりますので、付加価値を上げる方法を愚直に考えていきます。
この記事を読むとどうなるの?
第4次産業革命が起こっている中でのコロナによる実体経済低迷の長期化で中小企業を取り巻く環境が激しく変化しています。こんな状況の中、経営の基本に沿った考え方の基盤の上で外部環境の実際の動きに合わせながら付加価値を上げていく方法のヒントがわかってしまいます。
中小企業の経営者や幹部の人に向けて記事を書いています。中小企業経営者・幹部の方々の一助になれば幸いです。
中小企業が付加価値を生み出す方法
競争戦略の類型
図1-1 競争戦略の類型
図1-1は、マイケル・ポーターの競争戦略図です。中小企業が競合他社とどのように競争していくのか考える時の枠組みで、4つに分類してどの戦略を企業は取るのかを検討する考え方です。中小企業は、ほとんどの企業が特定のターゲットに集中させていく戦略を選んでいます。
図1-2 業種別、競争戦略
4つの類型のうち、中小企業は差別化集中戦略を採用して低価格ではなく、差別化による優位性を構築することに専念していることがわかります。「宿泊業、飲食サービス業」「小売業」は、広い市場を対象とした差別化戦略の割合も高くなっています。
競争戦略と業績などへの影響
図1-3 競争戦略別、営業利益率の水準(2018年)
図1-3のとおり、特定のターゲットを対象に、価格以外で差別化した商品・サービスを提供する手法が付加価値を上げています。
図1-4 競争戦略別、差別化の観点での優位性評価別営業利益率の水準
図の見方は、差別化集中戦略で差別化の優位性評価が大きく優位である企業の営業利益率は、4.7%でもっとも高いと読み解いて下さい。
対象市場の絞り込みは、「特定市場に経営資源を集中させることで、参入障壁を築きやすいこと」、「量的に小さい市場を対象とすることで、業界のリーダー企業が参入しにくいこと」から優位性構築に有効であると考えられています。
また、「地域」を限定し、地域のニーズに即した事業展開やサービスの質の向上に経営資源を集中する企業もあります。
一方、集中することにはリスクもあり、消費者のトレンドや法規制の変化をきっかけとした、市場自体の衰退・縮小による影響、他社参入による影響はリスクが大きくなります。
例えば、「タピオカブーム」に乗った飲食店は、そのまま「タピオカ」一押しで商品構成したままでいいのか?等
差別化集中戦略を取る中小企業でも、常に技術・ノウハウに磨きを掛けると同時に、自社で市場の裾野を拡大する取り組みや、自社の技術・ノウハウを基盤とした新たな事業領域・事業分野に進出していく取り組みも重要です。環境変化・市場変化とともに常に企業変化を起こしていくことが、中小企業が付加価値を生み出す源泉となります。
次回は、バリューチェーンについて考えていきます。